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指の先から破壊光線

月曜の朝までに考えておくこと

パスタの余白

私の好きな麺類ランキング、二位、うどん。

 

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一位はパスタ。おしゃれなカフェで長い名前を言わないと出てこないスパゲッティも(店員さんは復唱する時、短く縮めて言うことが多いけど、それなら最初からそう書いておいてほしい)、おなかが空いた時に便利な3分でゆで上がるペンネも、誕生日にねだると母が作ってくれたラビオリも、全部まとめてパスタが好きです。

 

実家にいた頃は、パスタって外に出てわざわざ食べるものじゃなかった気がします。母が作ってくれるし、外食する時に頼まなくてもいいような。その理由は母が料理上手で、今日は暑いねと言ってはサラダスパゲティを作り、クリスマスには鳥の丸焼きの横にマカロニサラダを並べ、今朝は寝坊しちゃったからとお弁当がファルファッレの入ったトマトスープになって、とわりあいバリエーションの豊かなパスタが食べられたことだと思いますが。

 

一人暮らしをするようになって、初めてちゃんと自炊をした時、スパゲッティをゆでました。何がいけなかったのか、そのスパゲッティはあんまりおいしくなくて、すこし泣きそうになったのを覚えています。家から何百キロも離れた遠い場所の、大して綺麗でもない大学の宿舎で、一人暮らしを始めて三日目に、おいしくないスパゲッティを食べることほど悲しいことを、私はそのとき他に思いつきませんでした。

 

それから、家以外の場所でパスタを食べるようになりました。学食で、大学の近くのカフェで、出かけた先の駅ビルで、地元にはなかったサイゼリヤで。母が作ってくれるのとは違う味のミートソースも、自分でつくったらぼそぼそになってしまったカルボナーラも、カニが殻ごと乗ったすごいボリュームの料理も、見た目は違ってもみんな私の好きなパスタでした。そして私が知ったことは、「お店ではパスタは非常に大きい白い皿に乗って出てくる」ということでした。

 

白い広い皿の真ん中に、小さく盛られたパスタ。五センチくらいはありそうな皿の耳部分。フランス料理なら、たぶん、この白い何も載っていない部分に、おしゃれっぽいソースがかかってるんでしょう。食べたことないのでわかりませんが。日本美術の「余白の美」、これがまさかパスタにも適用されてるなんて。

 

育ち盛り(?)の私が考えるのは、果たしてこれで世の中の人々はおなかいっぱいになるのか。小食な女性ならまだしも、男の人はこれじゃ全然満たされないのでは? という疑問を抱くことで、自分がいわゆる大飯食らいだという事実を必死になかったことにします。

 

お店のパスタに存在する真っ白な陶器の余白に思いを馳せながら、今日も私は皿の縁ぎりぎりまで盛ったスパゲッティを食べています。